ここでは,青空文庫用スタイルファイルのより,進んだ使い方,カスタマイズについて説明します.
用紙のサイズのデフォルトはA5二段組ですが,オプションでA5一段組,A4横置き一段組,B5二段組に変更する事が出来ます.あまり賢くないスタイルファイルなので、クラスファイルのオプションの用紙指定を判別してくれません.手作業で以下のように指定する必要があります.
A5一段組の場合:
\documentclass[a5paper]{tbook} \usepackage[final]{aozora}
A4横置き一段組の場合:
\documentclass[a4paper, landscape]{tbook} \usepackage[a4land, final]{aozora}
B5二段組の場合:
\documentclass[b5paper, twocolumn]{tbook} \usepackage[b5, final]{aozora}
とします.
デフォルトの版面がA5になっているのは見開きにしてA4に印刷するためです.見開きで印刷するのはプリンタドライバの機能を使うことも出来ますが,設定が面倒ですのでDVIファイル側で出来れば非常に便利です.
青空スタイルではテンテンさん作の1010crop.styを用いてこれを実現します.スタイルオプションで2upを指定することでA4見開きでDVIファイルが作成されます.\usepackage[final,2up]{aozora}
のようにします.用紙がA5以外の時は無視されます.
dvi2nakによる中綴じ用や見開き用のDVIファイルを作成する為にはスタイルオプションnakatojiを指定します.ページサイズのスペシャルの書きだしをしないようになります.\usepackage[final, nakatoji]{aozora}
のようにします.
同一の作家の作品を集めて短編集を作成したくなるかもしれません.そのようなときに使うコマンドが\articleinput
です.同一作家の場合は\articleinput
を使いますが,異なる作家のアンソロジーなどを作る場合は\ArticleInput
を使って下さい.扉ページと目次に作者名が表示されます.
メインのドキュメントを以下のように作成します。
\documentclass[a5paper, twocolumn]{tbook} \usepackage[expert, deluxe]{otf} %\usepackage{utf} \usepackage{furikana} \usepackage{type1cm} \usepackage[final]{aozora} \def\rubykatuji{\rubyfamily\tiny} %\def\rubykatuji{\tiny}%for UTF package \title{中島敦短編集} \author{中島敦} \date{} \begin{document} \maketitle \tableofcontents \articleinput{kouhuku_ruby} \articleinput{meijin2_rubi} \articleinput{kitsunetsuki} \articleinput{gojyoshusse} \articleinput{tora_gari} \articleinput{gyujin} \articleinput{hikaritokazetoyume} \articleinput{gojyotanni_ruby} \articleinput{eikyo} \end{document}
それぞれの文書,kouhuku_ruby.tex, meijn2_rubi.texなどは,それ自体でコンパイル出来る物です.\articleinput
で取り込む際に何も変更する必要はありません.但し,個々のファイルのプリアンブルでマクロなどを定義したり,パッケージを読み込んでいても無視されます.メインのドキュメントに転記しておいて下さい,
また,このような短編集の場合,底本の情報は表示されないようにしました.以前にスクリプトで変換した文書を読み込む場合,\theendnotes
の後に\begin{teihon}
を,\end{minipage}
の後に\end{teihon}
を追加して下さい.(再変換すると手作業で置き換えた外字が失われます 経験者談)
お薦めはしませんが,単独のファイルをコンパイルする場合でも底本を表示しないようにするには,プリアンブルで
\renewenvironment{teihon}{\comment}{\endcomment}
の行を上記のように有効にします.
タイトルページにヴァリエーションを持たせられるようにしました.
\usepackage[final, title=webomints]{aozora}
などとします.
現在はデフォルトのplainとA5版用のwebomintsとframedが使えます.
webomintsはWebOMintsがインストールされていないと使えません.
framedはniceframeパッケージがインストールされていないと使えません
オリジナルのタイトルページを作るには,スタイルファイルの最後の部分の\@namedef{webomints@a5}
を参考にお作り下さい.例えば,
\@namedef{personal@a5}{ タイトル用のボックス }
とすれば\usepackage[final, title=personal]{aozora}
で読み込まれます.
扉ページの裏の文字については\azbanner
を定義し直せば変更出来ます.例えば,オリジナルの扉を作った場合,
\def\azbanner{カバーデザイン={\gtfamily 辰巳五郎}\hspace*{45Q}}
のようにしてもよいでしょう.
扉ページの出版者名に当たる部分の「青空文庫」の文字列は\biblioname
に収められています.これを再定義すれば自由に設定出来ます.
齋藤修三郎